世界のランの80%は、着生
ランはその生える場所によって、地生ランと着生ランとに大別されています。(セッコクなどは 岩にもつき、これを「岩生」と呼ぶことがありますが、着生の範囲に含めます。)ところで、地生ランと着生ランとどちらが多いでしょうか。 カラー版野生ラン(家の光協会発行)には、262種類が掲載されています。 その内訳は、着生種37、地生種225となり、日本では断然地生種(86%)が多いのです。
とくに、北海道では全体で67種類で、うち3種(ヒナチドリ、ツリシュスラン、クモイジガバチ)のみが着生種(4%)です。 私の住む高知県は面積は北海道の10分の1足らずですが、123種類で(高知県植物誌による)、うち19種(15%)が着生種です。 国内でも大まかに言えば、北へ行くほどラン全体の種類は減り、同時に着生種の締める割合もぐんと少なくなります。
ランのおもな産地は熱帯・亜熱帯であり、北極、南極に近づくほど減っていきます。 空中湿度の高い地域には着生ランが多いことと合わせて考えると、 熱帯・亜熱帯には着生ランの割合も高いと考えられます。「 世界のランの80%が着生である」とする説は、うなずけます。
ラン科植物はもっとも新しく地球上に現れた(といっても、8000万年前)そうですが、 先輩植物に占拠されていた地上から、樹上に新天地を開拓することで、今では2万6千種を超えるファミリーに発展したのでしょう。
2012/1/31
追記:
「着生植物は,他の基物上(主に樹上)で暮らす植物で,維管束植物では,着生種は10%にものぼることが知られる. そのため,着生植物の存在が植物の種多様性の一役を担っているといっても過言ではないだろう.着生種が最も多く知られるのがラン科で,着生種の6割が該当する. ついでサトイモ科,パイナップル科,シダ植物ウラボシ科と続く.」
着生植物はどのように生まれたか?
(堤千絵 分類第13巻1号 2013/2)
2014/8/15