下を向いて歩こう

 杉は伸びるにしたがって、枝を落としていきます。 谷沿いの杉林を歩いていると、枝にくっついたカヤランを拾うことができます。 見付けられない日はない、といっても良いでしょう。小さなランですが、 杉の枝に沿って伸びた数条の白い根が薄暗い場所でも意外と目立つのです。 杉の枝が途中で引っかかったので、無事に花を咲かすことができた。 杉の枝が途中で引っかかったので、無事に花を咲かすことができた。
カヤランは高い木の枝に根を這わせ、逆さにぶら下がっています。 自然のままのカヤランの姿は、首が痛くなるほど反り返って上をみる必要がありますが、 まず徒労に終わるでしょう。
 もしあなたがカヤランの出会いたいのなら、私は「下を向いて歩こう」と申し上げます。
  多くのランが絶滅危惧種になっていますが、その原因の一つは、 植林で林や森があまりにも均一化してしまったことにあるのではないでしょうか。 しかし、カヤランはこの人為的な変化を逆手にとって勢力を伸ばしているかに見えます。 台風のあと、セッコクの付いた杉の枝も良く見ます。ほかにクモランフウランカシノキラン・・・。着生ランにとっては、杉の木の肌は魅力的でしょうか。
 ところで、枝と一緒に地面に落ちたランは1年もしないうちにダメになりますが、拾ってきて庭木に縛り付けておくと、たいていは助かります。

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