シュンランとラン菌との関わり合い


菌からの搾取が60%、光合成より多い!?

 シュンランは、年中青々とした葉を茂らしている。ムヨウランなどの腐生ランとは違う。

葉を繁らせたシュンラン 葉を繁らせたシュンラン 葉がまったくないマヤラン 葉がまったくないマヤラン

当然光合成しているはずで、全部あるいは殆どが光合成で得た自前の養分かと思ったら大違い。
 菌から摂った養分が60%にも達するという。自前の分よりすっと多いという調査結果もあるという。 シュンラン体内の炭素を分析すれば、光合成の炭素と菌由来の炭素の比率が判るという。  ムヨウランのような腐生ランは光合成ができないから、菌から取り入れた養分が100%だろう。 シュンランは菌の助けがなければ発芽できない。 発芽しても長年地下生活を送らなければならない。この時期には全面的に菌に依存しているだろう。 全面的に菌に依存して養分を蓄えてから、地上に現れ、 親株になれば、葉を茂らせている。 親株になっても、光合成するより菌に依存する度合いが高いとは驚きだ。
 いつまでラン菌に頼っているつもりだ。 いっそのこと葉もなくして、ラン菌に おんぶにだっこ したら良いではないか。 もしかしたら、同属のマヤランような腐生ランへの進化の道を歩んでいるかも知れない。

鉢植えのシュンランは菌を食い尽くす!?

鉢植のシュンラン 鉢植のシュンラン  鉢植えのシュンランの場合では、どうだろう。 鉢にある植物は、シュンランのみである。
 菌は光合成は全くできない。動物か植物に寄生または共生して、そこから養分を得なければならない。
 鉢には、シュンラン以外には生物はない。用土は日向土や鹿沼土、山砂などである。 清潔なものが良いので、古い用土を再利用する際は、焼いて殺菌する。 肥料もハイポネックスなどである。だから有機物さえもない。
 ラン菌にとっては、寄生あるいは共生する生物もその死骸や枯れ木、要するに有機物がなく、あるのは、菌を食べる怖いシュンランである。とすると、菌根の菌は、シュンランに食べ尽くされて全滅してしまうことになる。
 長年、鉢で生活してきたシュンランの根は菌根ではなくなっているだろうか。

鉢植えのシュンランはラン菌を養う!?

 シュンランの鉢に、ウチョウランなどののタネを蒔くと良く発芽するという。だとしたら、この鉢にはラン菌が繁殖していることになる。
 この鉢には菌が取りつくことができるものは、シュンランしかない。ラン菌は菌根を通じてシュンランから養分をもらっている。シュンランが光合成で作った養分の幾分かはラン菌へと流れているはずである。そうでなければラン菌は生きていけない。ウチョウランの発芽の助けなどできるはずがない。
 話はそれるが、アカマツとマツタケとは、共生関係にあるという。 マツタケの菌糸はアカマツの根に寄生して、アカマツから養分をもらっている。アカマツは、マツタケの菌糸を通じて土から水分や養分を吸収するのを助けてもらっている。(だから、アカマツは痩せた土地でやっていける。)
 鉢植えのシュンランとラン菌との間にも、これに似たような共生関係があるのではないか、と想像する。

2017/5/6

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