クマガイソウの葉は変わりもの

 ここ数ヶ月、クマガイソウの花の写真を撮りたくて、歩き回りました。 苦労の末、あるいは偶然に数十の株に出会いましたが、 花も蕾もありません。ただ一つ、友人に教えてもらったところの一株が花をつけていました。 クマガイソウは、その特異な二枚の葉で太陽の恵みを受け止めて養分を貯めます。 そして、先ず栄養繁殖で株を増やして群落を作る。群落が充実して、はじめて花をつける。 このような仕組みになっているように思います。素人考えですが。 私が写真に撮った開花株は、15株ほどの集まりから数メートル離れてぽつんと咲いていました。 これは例外のように思えますが、私にとっては初めての野生の花で、ありがたい贈り物でした。

2005/5/17



 ところで、クマガイソウはやはり変わりものです。どこがと言えば「花」をあげる人が多いかもしれませんが、 私は「葉」を一番にあげます。 唇弁が袋になった花はアツモリソウ属に共通しますし、外国では、 パフィオペディラム属フラグミペディウム属 も似たような袋をもっています。2万5千種を超える 世界のラン科植物 は、 昆虫やハチドリを誘うために、その花々は千変万化です。
  しかし、クマガイソウのような葉は、そうそうないと思います。 葉脈は葉柄の先端から出て、途中は広がり、葉先で絞られる、これが基本です。 クマガイソウはこの原則?に反して、葉脈が一番広がったところで切り取られています。 まるで団扇の骨のような感じです。 クマガイソウはその葉の形をもって、ラン世界の異端児と言えるでしょう。

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