アキザキヤツシロランクロヤツシロランの見分け方

 アキザキヤツシロランとクロヤツシロランは花の咲く時期は同じです。 孟宗竹の古株にアキザキヤツシロラン(左)とクロヤツシロラン(右)が並んで生えていた。 孟宗竹の古株にアキザキヤツシロラン(左)とクロヤツシロラン(右)が並んで生えていた。 アキザキヤツシロランは竹林以外ではあまり見られませんが、クロヤツシロランの自生地は常緑広葉樹林、杉林などのほか竹林にも生えて、 アキザキヤツシロランと隣り合わせに花を咲かせていることもあります。そのせいか、1980年に新種としてクロヤツシロランが発表されるまでは、両者は同じ種として扱われていました。

 しかし、咲いた花を見れば私たちにも簡単に見分けができます。
 @ まづ、クロヤツシロランはほとんど平開に近い状態になるが、アキザキヤツシロランは筒状のままで平開しない。
左はクロヤツシロラン
右はアキザキヤツシロラン
左はクロヤツシロラン、右はアキザキヤツシロラン
 A つぎに色は、クロヤツシロランは赤みがあり、アキザキヤツシロランには緑が入っているように見る。
 B 決め手は、クロヤツシロランの唇弁には毛があり、肉眼でもよくよく見ればわかる。アキザキヤツシロランにはこの毛はない。

 ヤツシロラン類はすべて背が低く、花の色も地味ですから、地表の色に溶け込んで、見つけるのは大変です。 左はクロヤツシロラン
右はアキザキヤツシロラン
左はクロヤツシロラン、右はアキザキヤツシロラン
ところが、結実すると花柄がぐんぐん伸びてる。40cmを超す高さになることもあります。このころなら比較的容易に見つけることができます。
 見つかったが、さて、アキザキヤツシロラン? クロヤツシロラン? ということになりますが・・・

果実期の見分け方

 果実を付けている時期の両者の違いは、第一に果実の色です。
 クロヤツシロランの名前は、アキザキヤツシロランに対比して黒っぽく見えることから付いたものでしょうが、 赤黒い、あるいは栗色といった方がより当たっているようです。
 アキザキヤツシロランの方はこれに比べると白っぽく、鼠色に近いように見えます。
 次の違いは花茎の部分です。クロヤツシロランは花柄の出る箇所の間隔が狭いのですが、 アキザキヤツシロランの方はこの間隔が広くなっています。この特徴は開花期からあるものですが、果実期にも残っています。 しかし、これには個体差があり、あいまいなところもありますから、決め手にはならないように思います。

 なお、四国ではこのほかにハルザキヤツシロランがありますが、これは春咲きです。6月にもなればすべて地上から姿を消していますから、混同することはありません。

2010/10/25

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