ヤツシロランは花柄が伸びる

 クロヤツシロランの花は、地べたに張り付くようにロゼット状に咲いています。 撮影:@9月26日、A10月5日、B10月13日、C10月17日、D10月23日 撮影:@9月26日、A10月5日、B10月13日、C10月17日、D10月23日 しかも茶色で落ち葉の色に溶け込んでいて、まったく目立ちません。(写真@)
 おそらくポリネータ(送粉者)は、花の色ではなく、臭いに惹きつけられて花を訪れているのでしょう。(ショウジョウバエなど)
 受粉がうまくいって受精すると、花柄が急速に伸び始めます(写真A〜D)。なお、花被は溶けるようになくなります。
 伸びるのは花柄であって、花茎ではありません。花茎の長さは、花期も果実期も変わりありません。
 花柄の長さは、50p近くにもなりますから、その先端の果実(子房であった部分)もそれだけ高くなります。 これは、種子を風にのせて少しでも遠くへ飛ばすための、 クロヤツシロランの戦術でしょう。
 この戦術は ハルザキヤツシロランアキザキヤツシロランなどにも共通しています。
 同じ属でも オニノヤガラ は違います。こちらは、花数が20〜50個と多く、花茎は1mにもなります。 果実期にも花柄がのびることはありません。

2013/10/17

伸びるのは花柄の先端部

 クロヤツシロランの果実が高くなるのは、花柄が伸びるからですが、伸びるのはその先端部です。それを証明したのが、左上の写真です。
撮影日:左から10/28、11/8、11/13 撮影日:左から10/28、11/8、11/13  まず(10月28日)、花柄がまだ伸びきっていない株を選んで、その花柄に等間隔に赤い印をつけました。
 その後、11月8日と11月13日に、同じ株の写真を撮りました。3つの写真を左から撮影順に並べて、赤マークを白線で結びました。
 中央から下の白線は水平ですが、上の方ほど右上がりの勾配が急になっています。
 花柄は、ゴム紐が引き伸ばされるように均等に伸びるのではなく、先端に近い部分で伸びていることが解ります。  
台風で倒れたところから伸び始める。 台風で倒れたところから伸び始める。
 下の写真(上の写真とは別の株)は、台風で根こそぎ倒れた株を撮ったものです。
 倒れた4本の花柄がそろって直角に曲がり、上に伸びています。
花柄が倒れた時点で、その先端部が上に向かって伸び始めた結果がこのような姿になったのです。

2013/10/17

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