和名 カンラン 寒蘭 花が寒い時期に咲くから。
高知県産のものは土佐寒蘭と称して、多くの愛好家がいる。
学名 Cymbidium kanran Makino
分布 本州(静岡県以西)、四国、九州、琉球列島。外国では、中国南部、台湾、朝鮮済州島。
生態と形態 暖温帯〜亜熱帯の常緑広葉樹の、やや乾燥した林床に生える。 シュンランと分布が重なることもあるが、カンランは、平野部に近い、暖かい場所を好む傾向がある。
新旧の球茎が地表に連なって、肉質の太い根を多数地中に伸ばし、角質で線形の葉を数枚つける。
花茎は球茎の基部から出て、高さ20〜60cmとなり、3〜15個の花をつける。花は芳香があり、色は変化に富む。 ▼ 花の形態をみる。
@=背萼片
A=側萼片
B=側花弁
C=唇弁
D=蕊柱

萼片は、倒披針形、長さ30〜35o。
側花弁は、萼片の2/3ほどの大きさで、同形同色。
唇弁は、乳白色で、紫褐色の模様が入る。
蕊柱は、長さ約15o。

花期 10〜1月
参考文献・サイト
ホームページ「野の花賛花」のカンランの頁(野生で開花しているカンランは珍しい。)


2007/11/8

人家に近い里山に数株あったが、どれも花茎はあがっていなかった。

なめらかで、しなやかな曲線を描く。


2007/11/21

今年、芽をだしたもの。この時期、ラン採りに狙われる。


2007/11/28 @牧野植物園(高知県) 2007/11/28 @牧野植物園(高知県)

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カンランとシュンラン 葉の違いは?

 カンランは花が咲いておれば、 シュンランの葉脈は白く透けて見える。 シュンランの葉脈は白く透けて見える。 シュンランとの区別に悩むことはありません。 カンランは秋ごろ、細長い花茎を伸ばして少なくても3個、多ければ10個を超える花をつけます。
 これにたいしてシュンランは春、太く短い花茎に花を1個だけつけます。たまに2個をつけるものもあるようですが、これは例外です。
 しかし、花をつけたカンランに出会うことは望めません。私は30年ほど昔いい香りのもとを探して見事な花をつけて株を目にしましたが、後にも先にもこれっきりです。  シュンランはそんなに珍しいものではありませんが、充実した株でも花を咲かせないことがあります。ある程度の日照がある方が花つきが良いようです。

 花がないときでも、シュンランとカンランとを見分ける方法はあります。 左はカンラン、右はシュンラン。 シュンランの葉は鋸歯(ギザギザ)が目立つ 左はカンラン、右はシュンラン
シュンランの葉は鋸歯(ギザギザ)が目立つ。

 1つのポイントは、葉の縁のギザギザ(鋸歯)のあるなしです。シュンランには肉眼でもわかるほどの、はっきりとした鋸歯があります。指で軽くしごくとザラザラした感じがあります。 カンランにはこのようなはっきりした鋸歯はありません。触ってもザラザラ感はありません。ただし、先端部分には多少の鋸歯はあります。
 2つめのポイントは、シュンランは葉脈が白く透けて見えることです。とくに逆光だとはっきりします。カンランの葉は肉厚なのか、このようなことはありません。

 もしカンランの栽培をお望みでしたら、秋の展示会で花が咲いた一鉢を購入されるのが良いでしょう。一昔前なら50万円を超すような名品が1万円もあれば手に入るそうです。 山で採った株に5年後に花を咲かせたとしても、タダのものでしょう。山で咲いてこそ宝物です。

2010/7/10

カンランとシュンラン、どちらが先に咲く?

 ホームページ「四国の野生ラン」に いつ咲く? というページを作った。
 四国にある野生ランを、開花順にカレンダーに並べたものである。それを見ると、春一番にシュンランが咲き、カンランが秋遅く咲いて取りを務める。
 しかし、暦は人が作ったものであって、季節は巡る。春が咲きで秋が後、とも言えるし、秋から冬を越して春が来るとも言える。

 ぐだぐだ言わずに結論を言えば、カンランが早く、シュンランが遅れて咲く。
 上の写真で、左上はシュンランで4つの花芽が見える。左下がカンランで1つだけだが確認できる。両方とも昨年9月18日に撮ったものである。生えている場所も100mとは離れていない。
 シュンランは、今年4月22日開花していた(写真右)。4つあった花芽は途中で腐ってしまった。カンランのほうは、虎の子の、たった一つの花芽が腐ってしまった。
 シュンランもカンランも花芽ができる時期はほとんど同時であろうと推測される。冬は花を咲かせるには不適当な時期だから、カンランは早々と秋に咲く(写真を載せられず、残念)。シュンランは、蕾のまま寒い冬を越して、暖かくなる春に咲く。

2019/4/1

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