果実は2つに割れる
カシノキランの果実は、2つに割れて大きく開く。 ランは果実は6か所に割れ目ができて、そこから種子が飛び散るのが普通だが、カシノキランは違う。 1か所が割れて、左右に大きく開く。 タネを撒くカシノキラン。下から仰ぎ見るようにして撮った。 クロヤツシロランの果実 まず、普通のランの果実は、ラグビーのボールのような形をしている。 6角形をしていて、角ごとに割れ目が入って、そこから種子が飛び出す。左の写真は、クロヤツシロランの果実である。 6か所が規則だだしく割れている。このような割れ方をするものは沢山ある。
と言うより、殆どのランがそうであるが、ここでは、いくつか例示しておく(種名にカーソルを置くと、画像が現れる)。
シュンランシュンラン
クロムヨウランクロムヨウラン
コオロギランコオロギラン
サイハイランサイハイラン
ヒメノヤガラヒメノヤガラ
カゲロウランカゲロウラン
ところが、カシノキランの果実は、1か所だけが割れて、2つに大きく開く。
2つに割れた果実(上)と種子(下) カシノキランだけが、このような割れ方をするのではない。
カヤランカヤラン
クモランクモラン
なども、似たような割れ方をする。
何故なのか?
種子が大きくて、狭い割れ目からは出ることができない、かというとそうではない。
綿のようなも(写真上)のは種子ではない。種子そのものは、この綿毛に包まれている。
左の写真(下)を見ていただくと分かるのだが、種子はごく小さいのだ。 6か所に小さな割れ目ができても、飛び出すことは十分できる。
カシノキラン、カヤラン、コモランは、いずれも着生ランである。 着生ラン限定の特徴である(着生ランすべてに共通するのではないが)。
なぜ、このような割れ方をするのか?判らない。
判らないが、高い樹に着生する生活様式に関係しているのではないか? と思うのだが、どうであろう。
2018/5/2
▼ 追伸:2018/5/10追伸:2018/5/10
先日撮ったのが5月2日、12日経った今日撮ったのが、右の写真。
綿毛の塊ようなのはまだ残っている。そして、タネも残っている。
果実は大きく開いたので、綿毛はとっくに無くなっているかというと、そうではない。
綿毛が絡まって、飛ばされないし、タネは綿毛に包まれている。 だから、一度にタネが飛び散ることはないのだろう。
もしかしたら、タネは綿毛から抜け出して飛び散るのではなくて、綿毛に包まったまま飛び散るのかも知れない。
綿毛と一緒の方が風に乗って遠くまで飛ぶことができるし、樹皮にくっ付くにも良いのではないかと想像する。