和名 マヤラン 摩耶蘭 摩耶山(神戸市)で発見されたことに因む。
学名 Cymbidium macrorhizon Lindl.
分布 本州(関東地方以西)、四国、九州、琉球列島、伊豆諸島。外国では、パキスタン〜ヒマラヤ、インドシナ、中国、朝鮮半島。
生態と形態 山地の湿度の高い林床に生える。菌寄生植物であるが、花茎は薄緑色をしており、果実の表面も緑色であるから、 葉緑素を含んでいて、光合成もしていると思われる。
枝分かれした地下茎から、数本(〜数十本)の花茎が地上に伸びて、高さ5〜30cmとなり、上部に2〜5個の花をつける。 群生することもあるが、近くに出ている花茎は地下茎が繋がっている可能性が強い。
花は、白地に紫紅色の模様がはいるが、変化がある。 ▼ 花の形態をみる。
@=背萼片
A=側萼片
B=側花弁
C=唇弁
D=蕊柱

花被片は、白地に赤紫の模様が入るが、個体差が大きい。
萼片は、長さ19〜26o。
側花弁と唇弁は、長さ12〜20oで蕊柱を囲む。

花被片は、白色で、赤紫の模様がはいるが、個体差は大きい。 側花弁は、萼片の2/3ほどの大きさで、同形同色。
唇弁は、乳白色で、紫褐色の模様が入る。
蕊柱は、長さ約15o。
花期 6〜10月。二度咲き(夏と秋)する株もある。
参考文献・サイト 共生菌からみたマヤランの不思議な暮らし(遊川知久)


2007/7/12

マヤランは、腐生植物で葉はない。夏に、いきなり地上に花茎が現れて、花を咲かす。

2007/7/12 2008/8/24 2007/7/12 2007/7/28 2005/9/29

開花期は、主として夏であるが、このように秋に咲くこともある。


白地に赤色の模様が入る。赤白の二色であるが、その模様には変化がある。


左端は、出たばかり。成長するに従って、右の姿に変わる。


2006/11/10

果実期。
マヤランは、いわゆる腐生植物であるが、この時期、花茎も果実も葉緑素を持っていて、光合成をしている。

2007/1/10

果実は割れて、タネを飛ばしている。


夏、花茎の折れたマヤラン

 マヤランは年2回花を咲かすらしい、とあるホームページに出ていたので、今日行ってみたら見事な花が咲いていた。 夏7月30日には、3つの蕾は付けていたものの花茎が途中で折れていました。 結局花を咲かすことはできず終わったのです。
 花を咲かすことも、実を結ぶこともできなかったこのマヤランは、余力をふりしぼって、秋にもう一花咲かそうとしたのでしょう。

2005/9/29

 マヤランは、腐生植物で、緑の葉はなく光合成はしません。ラン菌の助けで地下に充分な蓄えができてから、花を咲かせるために地上に現れます。 前月は何もなかった登山道の側に、こんな美しい花を見つけると、

左はヘッカラン、右はマヤラン

誰かが悪戯して手折った花茎を落ち葉の間に突き刺したのでは、と一瞬思うはずです。
 カンランは同じシュンラン属=シンビジュームですが、古人は花にもましてその葉を愛でたものでした。 このカンランも、10年近く地下生活をしているらしい。 撒かれたタネがラン菌が助けで、先ずリゾーム(地下茎)を作り、それがある程度大きくなってから、地上に芽を出すのです。 握り拳ほどもあるリゾームを見たことがあります。 「リゾームからいきなり花茎がでて花を咲かせた」と話題になったこともあります。
 日本にはおよそ7種のシンビジュームがありますが、ヘッカランは樹上へ逃れ、マヤランは地下に潜りました。 生活様式が両極端の二つが何故か、花の雰囲気が似通っています。

2005/9/29

鹿にやられた!2008/7/10 鹿にやられた!2008/7/10  30分もあれば、マヤランの自生地に行き着きます。一昨年は、ここに20株を超えるマヤランが花を咲かせたのです。
 ところが、昨年は花茎が出てきたところを鹿に喰われて全滅。花は一つも見ることができませんでした。  今年はどうだろうかと、今日行ってみると、3株が地上に現れているのを確認することができました。
 マヤランは腐生植物ですから、鹿が地上部を喰っても地下に本体が残っているはず、とは思っていましたが、やっぱり一安心です。 花茎が出ていた!2009/7/2 花茎が出ていた!2009/7/2 しかし、これから花茎が伸びて花を咲かせ、実を結び、タネを撒くまで無事にことが運ぶのかは不安です。
 マヤランは腐生植物といっても、花茎は緑色をしており葉緑素を持っています。 果実もシュンランと同じように葉緑素を持っており、光合成をしてタネを充実させる養分を補っているようです。 腐生ランは一般に花を咲かせ実をつけタネを撒くまでの期間が短いのですが、マヤランの果実が割れてタネを飛ばすのは、年を越して来年の春になります。
 どうか鹿の餌になりませんよう無事を祈ります。
(マヤランを喰ったのは、兎の可能性もありますが、鹿の食害が奥山から里山・畑まで拡がっているものですから、鹿と決め付けてしまいました。)

2009/7/2

 マヤランは、腐生植物で、緑の葉はなく光合成はしません。ラン菌の助けで地下に充分な蓄えができてから、花を咲かせるために地上に現れます。 前月は何もなかった登山道の側に、こんな美しい花を見つけると、

左はヘッカラン、右はマヤラン

誰かが悪戯して手折った花茎を落ち葉の間に突き刺したのでは、と一瞬思うはずです。
 カンランは同じシュンラン属=シンビジュームですが、古人は花にもましてその葉を愛でたものでした。 このカンランも、10年近く地下生活をしているらしい。 撒かれたタネがラン菌が助けで、先ずリゾーム(地下茎)を作り、それがある程度大きくなってから、地上に芽を出すのです。 握り拳ほどもあるリゾームを見たことがあります。 「リゾームからいきなり花茎がでて花を咲かせた」と話題になったこともあります。
 日本にはおよそ7種のシンビジュームがありますが、ヘッカランは樹上へ逃れ、マヤランは地下に潜りました。 生活様式が両極端の二つが何故か、花の雰囲気が似通っています。

2005/9/29

マヤランは、腐生ランへの進化途上

マヤラン マヤラン マヤランの果実 マヤランの果実 ムヨウラン(円内は果実の殻) ムヨウラン(円内は果実の殻)  
 マヤランは、いまが開花期である。四国にあるシュンラン属のうち、シュンランは、もちろん、ナギランも花は終わっているし、カンランが咲くのは、まだまだ先のこと。だから、仲間のうちで、この暑い夏に、花を見せてくれるのは、マヤランだけである。

 マヤランは、腐生植物と言われている部類に入る。しかし、良く見ると、花茎や花柄子房はうっすらと緑がかっている。普通の葉はないが、鱗片葉らしきものも見られる。
 さらに、果実期になると、花茎と果実は緑が濃くなって、明らかに葉緑素で光合成していると思われる。この果実は長く残って、種まきは、年を越すことになる。

 これも腐生ランと呼ばれているムヨウラン(写真下)と比べてみると、違いがはっきりする。
 ムヨウランには、開花期から果実期まで、葉緑素らしいものは、まったく見られない。また、花が終わって実を結ぶと、すぐに裂開してタネを撒き散らす。光合成しないから地上に長く留まっているのは、百害あって一利なし、というわけだろう。
 ムヨウランは完全に腐生植物(=菌寄生植物)になっているが、マヤランのほうは、まだまだ、進化途上だ、ということらしい。

2019/4/1

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