和名  モイワラン 藻岩蘭 
最初に発見された産地である藻岩山(北海道)にちなむ。
学名 Cremastra aphylla T.Yukawa   1999年に新種として記載された。
分布 北海道、本州、四国
生態と形態 湿気の多い林床に生えて、全面的に菌に寄生する(いわゆる腐生ラン)。
サイハイランのような充実した球茎(バルブ)は見られないし、通常の葉もでない。 花は褐色を帯びた赤紫色で、開き方がサイハイランより小さく、1つの花茎につく花数がサイハイランより少ない。
なお、四国産は葉をつける点でモイワランと異なるといわれるが、地上に葉らしきものが出ているのを見たということは聞かない。
花期 5月〜6月
参考文献・サイト
Cremastra aptrylla (Orchidaceae), a New Myeoparasitic Species from Japa
モイワランにおける果実期のクロロフィル発現と葉鞘の確認
サイト「阿波の野草散歩」の1頁 「モイワラン」
ブログ「篆刻 希夷斎」の1頁 「新発見!」


2015/5/24 2015/8/2
2009/5/24
2007/6/16 2007/7/26

果実は緑がっかているので、葉緑素もあるはず。

 高知県植物誌(2009年3月発行)では、「トクシマサイハイラン(仮称) Cremastra sp.」の項目で掲載されています。 そこには下記のように書かれています。
サイハイランに比べて花は赤く、構造も異なり、
モイワラン [ C. aphylla T. Yukawa ] に似たところがあるという(遊川知久 私信)。

 モイワラン Cremastra aphylla は、1999年にサイハイラン属の新種として 筑波実験植物園研報に掲載されています。
 モイワランの特徴のうち私など素人目にも判りやすい点は、
1、いわゆる腐生ランで通常の葉がでない
2、花色が褐色を帯びた赤紫である
3、花の開きがサイハイランより小さい
4、1つの花茎につく花数がサイハイランより少ない
などです。

 これらの特徴はトクシマサイハイランにも共通しているように思えますから、モイワランとの相違点は別のところにあるのでしょう。 仮に「トクシマサイハイラン」と名付けたものがモイワランとは別の種なのか、その変種なのか、あるいはモイワランの1つのタイプということで落ち着くのか、研究発表が待たれます。

 なお、徳島県をはじめ四国で見つかっている腐生のサイハイランは、一般には「モイワラン」と呼び、区別していないようです。 ホームページ阿波の散歩道でも 「モイワラン」として見事な群生が紹介されています。



筑波実験植物園研報では、モイワランはサイハイランからは次の点で区別できるとしています。
まったく普通葉を生じないこと、
花被片の開度が小さいこと、
蘂柱先端より少し下の腹側に見られる翼がないこと、
唇弁基部先端の突起が平滑でなく皺〜いぼ状になること、
花色が褐色を帯びた赤紫であること、
花序あたりの花数が少ないこと

2009/6/11

 葉のあるモイワランが埼玉県で見つかった、というビックリする話。 ブログ「篆刻 希夷斎」の2008年6月12日のページ に「葉のあるタイプの藻岩蘭」として載っています。
 またホームページ「上州花狂いの植物散歩」の モイワランのページには、 今年(2009年)撮られた写真がやはり「葉のあるタイプのモイワラン」として紹介されています。
 これらブログやホームページの写真を見ると、花序の色・姿はモイワランとそっくりで写真で見比べても相違点をあげることはできません。 しかし、普通のサイハイランの葉と比べると相当小さめとはいえ葉緑素をもった葉をはっきりと見ることができます。

 モイワラン(Cremastra aphylla)は、その特徴の第一として「菌寄生に強くシフトした生活史を展開し、まったく普通葉を生じない」 (筑波実験植物園研報)とされ、いわゆる腐生植物です。
 「葉のあるタイプ」は小さな普通葉(退化する途上か?)を持ちますから、半腐生植物といえます。 これはギンランに対するユウシュンランのような関係に当たるように思えます。 サイハイラン属にまた一つ、新種あるいは変種が登場することを期待しても良いかもしれません。

2009/6/20

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