和名 ネジバナ 捩子花 別名 モジズリ 捩摺  捩じれた花序に由来する。
学名 Spiranthes sinensis (Pers.) Ames var. amoena (M.Bieb.) H.Hara
分布 北海道、本州、四国、九州、琉球列島、伊豆諸島。外国では、ユーラシア大陸に広く分布する。
生態と形態 暖温帯〜亜寒帯の、日当たりの良い草地に生える。
地中に数個の紡錘状の根が束生し、秋、株元に数枚の葉が集まって出て、冬を越す。
春、株の中心から茎が伸びて高さ10〜40cmとなり、上部は多数の花が螺旋状に捩れた穂状花序をつくる。
花色は、淡紅色〜白色まで変化があり、純白のものは品種としてシロバナモジズリ f. albescens という。
花期 5月(四国では6月)〜7月。  秋に咲くものは、品種としてアキネジバナ f. autumnusという。
参考文献・サイト ネジバナ花穂の拗捩について


2008/6/25

 ネジバナは太陽が大好きで、日当たりの良い草原に生えている。

 花は螺旋状に下から上へと咲いていく。捻じれ方は右巻きもあれば、左巻きもある。捩じれないものもある。


 花の色は、濃いピンクの花(上段左端)から赤い色彩が抜けて、純白の花(下段右端)になるまで変化がある。
 純白の花を咲かすものには、シロバナモジズリの品種名が与えられる。


2004/6/27

 ネジバナはポピュラーな花で、たくさんの株見てきたが、蝶や蜂が止まっているのには、あまり廻りあわない。


左=2008/6/24、右=2008/7/15 撮影

 ネジバナに蝶や蜂が止まっていることは殆どないのに、結実率は良くて100%近い。 ポリネータ―要らずの自家受粉のためではないか、と推測する。


左=2009/1/13、右=209/3/29 撮影

 ネジバナの地上部は毎年更新する。葉は、晩秋にでて冬を越すため、寒さに耐える姿をしている。
 夏の花時には、葉は伸びて細長くなる。もっともその時期には周囲の雑草に埋もれて花しか見えないことが多い。


 20年ぐらい前のこと、採ってきたネジバナの株を妻の実家へ持って行ったら、 「増えて困るぞね」と言われたました。その株が我が家の庭の芝生で、あちこちに広がって毎年花を咲かせています。
 確かにランの中ではその生命力は群を抜いています。

可愛らしい小さな花のカタバミやグランドカバーの役目もできるチドメグサを庭から絶滅せんとむなしい努力をしている妻も、ネジバナには寛大です。
 数十の花が花茎の周りに下から上へグルグル回りながら付いている様は、見事です。 テントウムシがこの螺旋階段を一段づつ登って、天辺の一輪で一寸ポーズをとってから、空へ飛び立つ・・・。 こんな空想は、お急ぎのテントウムシにとっては迷惑でしょう。ネジバナも「ちょっと違う」と言うでしょう。
 花が螺旋状に付くことで、ひとつ一つの花の上下に隙間ができます。 ここが、花の蜜を吸いに来た蝶が止まるのには、格好の場所となる。こう解釈するのが理にかなっているでしょうか。
 この見事な螺旋階段はどのようにして作られるでしょうか。じつは、

ネジバナといっても全く捩れず一つの方向に一列に付いているものもあります。 捩れる場合もよく見れば、右巻きもあれば左巻きもあります。
 左の写真の方は、花茎の同じ側に一列に花が付いています。この花茎の一番上を摘んで右に捩じると、右の写真になります。 花が花茎の周りに螺旋状に付くというよりは、花茎が捩じれた結果である、と考えるのが自然です。 左に捩じると左巻きになります。強く捩じると、緩やかな階段になります。
 来年の夏は、庭のネジバナをじっくり観察して確かめたい。
 「そんなこと、とっくの昔調べて発表してますよ。」
 じゃ明日、牧野植物園の図書室へ行ってみましょうか。

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