図鑑とは違う、2つのタイプ
手許の図鑑「カラー版野生ラン」(家の光協会発行)では、 タイプ1唇弁が長方形に見える。 よく見るタイプ (唇弁が四角い)スズムシソウのページとセイタカスズムシのページが見開きになっていて、 両方を比較するのには、たいへん便利です。
セイタカスズムシのページには、「スズムシソウによく似ているが、花は小さく、花茎はむしろ高い」と書かれています。 この図鑑の両者を見比べると、「セイタカスズムシ」の和名をつけたことが納得できます。
四国には、2つのタイプのセイタカスズムシがあり、両方とも図鑑に載っているのとは違うようですし、セイタカスズムシの名に相応しくありません。
タイプ1(方弁タイプ)
これは、四国では、よく見かけるタイプです。唇弁の両側が折れ曲がって、上から見ると四角形の弁当箱のようです。 色は、暗い紫の入った、くすんだ色で、透明感はありません。これらの点で、図鑑のセイタカスズムシの花とは、大きく異なります。(仮に、方弁タイプとする)タイプ2(円弁タイプ)
次は、 タイプ2:唇弁が丸い。 唇弁が丸いタイプ スズムシソウのように、唇弁が円形をしたタイプです。 今までに見たのは、高知県東部と徳島県でそれぞれ一箇所だけですが、探せば、まだまだ出てくることでしょう。先に書いた「タイプ1」とは、花の形だけでなく、草丈が低い点、花数が少ない点でも大差があります。
唇弁の形は、図鑑に載っているセイタカスズムシに似ています。 しかし、花茎はずっと低く、花の色は緑、花数も少ないことなどの違いがあり、同じものだと断定することはできません。(仮に、円弁タイプとする)
セイタカススムシは、北は北海道から、南は九州まで、広く分布していますが、 この2つのタイプは、地域的な特異性というだけで片付けることができるでしょうか。 それとも、新種あるいは変種として認められるべきものでしょうか。
2012/9/3