ウスキか、ウスギか
このページを作ったとき、タイトルは初め「ウスキムヨウラン」としてありました。 愛用している手許の図鑑(カラー版 野生ラン 著者:橋本保ほか 発行:家の光協会)を参考にしたものでした。ところが、書物やインターネットで見るのは「ウスギムヨウラン」と濁点がついたものが圧倒的に多い。 そこで数年前に、寄らば大樹の陰で、そちらに変更しました。
最近になって、ムヨウラン属に詳しい方から「命名者の津山先生はウスギムヨウランと書かれるのを快く思っていなかった」ことを知らされました。 原記載を調べてみると、「新種と認めてウスキムヨウラン(淡黄無葉蘭)Lecanorchis kiusiana の名を与えた」と書かれていました。
学名には厳格な命名規約があり、命名者が後でスペルの間違いに気づいても訂正できないが、和名には一切決まりはないそうです。 しかし、混乱を避けるためにも、命名者がつけた和名を尊重して、よほどの理由がない限り変更すべきではない。 そう考えて、もとの「ウスキムヨウラン」に戻しました。
参考までに:
ウスキムヨウランと書かれているもの
ウスギムヨウランと書かれているもの
原色日本植物図鑑 草本編 (保育社)
愛知県のムヨウラン類(2005, 芹沢俊介) この論文には、 和名は当初ウスキムヨウランと命名されたが、現在では
「ウスギ」と濁ることが多く、淡黄色という意味でもその方が伝わりやすいと思われる。 と書かれています。
2011/2/27