和名 ムカゴトンボ 零余子蜻蛉
「ムカゴ」の由来は、花序がムカゴソウに似ているからか、あるいは、地中の塊根を指すのか(?)。
学名 Peristylus densus (Lindl.) Santapau & Kapadia
Peristylus flagellifer は、異名。
また、ミズトンボ属 Habenaria に含める説もある。
分布 本州(関東地方以以西)、四国、九州、琉球列島、伊豆諸島。世界的には、東アジア暖温帯、インドシナ、東ヒマラヤ。
生態と形態 暖温帯〜亜熱帯で、日当たりの良い、湿った草地や法面に生える。
茎の下部に、広披針形の葉を3〜5枚つけ、花期の高さは20〜50cmとなる。
上部に淡黄緑色の花が密に多数ついて、長い花序をつくる。
唇弁は3裂し、側裂片はひげ状で捩じれ、長さは6〜7mmとなる。
▼ 花の形態をみる。
@=背萼片
A=側萼片
B=唇弁
C=側花弁
D=距
E=花柄子房
萼片と側花弁は、ほぼ同長の約3o、頂部に集まって、蕊柱を兜状に覆う。側花弁が約3.5o。
唇弁は基部で3裂し、中央裂片約3o、舌状で下垂し、側裂片はひげ状に捩じれて6〜7o。距は、3〜4oの棒状で、下垂する。
花期 8〜10月。四国では、9月から。
林道の、日当たりの良い法面で花を咲かせていた。
イヨトンボが日陰と湿度を好むのに対して、
ムカゴトンボのほうは比較的、日当たりを好み、乾燥にも強い。
茎の下部に、3〜5枚の葉が間隔を置いてつく。イヨトンボのように基部についてロゼット状に拡がることはない。
左は果実(2005/10/12)、右はタネを飛ばした後(2005/1/16)
日当たりの良い丘の斜面で、小笹や雑草に埋もれて、花茎だけをつき出して咲いていた。