和名 ヤクシマアカシュスラン 屋久島赤繻子蘭
最初に屋久島で発見され、茎や葉柄が赤みがかっている。
属名は、シロスジカゲロウラン属とされていたが、ヒメノヤガラと同じ属とされたので、「ヒメノヤガラ属」を優先して採用した。
学名 Hetaeria yakusimensis (Masam.) Masam. ex E.Walker
Rhomboda yakusimensis (Masam.) Ormerod とする説もある。
分布 本州(静岡県以西)、四国、九州、琉球列島、伊豆諸島。外国では、台湾、ヴェトナム、中国南部。
生態と形態 暖温帯〜亜熱帯の常緑広葉樹林に生える。
茎は匍匐して立ち上がり、卵状楕円形の葉を3〜5枚つけ、花期の高さは10〜30cmとなる。茎や葉柄は赤みを帯びる。
花は3〜25個つく。
カゲロウランとは、よく似ており、同じ場所に混生することもあるが、属が異なる。
花期 9〜10月


2009/9/17

 常緑広葉樹林で咲いていた。 四国では、太平洋側の温暖な地域に、その分布は限定される。

 花も全体の姿も、カゲロウランに似ている。 生える環境も同じで、共生している場所もあるらしいが、両者は別の属とされている。

 花序の天辺にハエが止まっていた。中ほどには、クモらしきものも見える。 しかし、どちらも花粉の運び屋ではなさそう。
 花は、多くのランが下から上へと咲いていくが、 ヤクシマアカシュスランは、上部が早く咲くという特徴がある。


2009/10-29

結実率は良いらしく、ほぼ全ての花が実を結んでいる。


2009/9/21

 葉身の中脈の葉緑素が抜けて、白い筋になる。

2009/9/21

 葉柄が長い。カゲロウランと区別するポイントの一つである。


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カゲロウランとどこが違う?

 カゲロウランとヤクシマアカシュスランとは良く似ています。そのため両者は同じ属に含められたこともあるそうです。 また、共に亜熱帯的な気候を好むようで、四国では黒潮の暖かさをうける太平洋側の照葉樹林に生えていてます。 自生地がそんなにかけ離れていない場合が多いであろうと推測しますし、私はまだ見たことはありませんが、二つの種が同じ場所に混ざり合って生えていることもありえます。

左=カゲロウラン、右=ヤクシマアカシュスラン 左=カゲロウラン、右=ヤクシマアカシュスラン  見分けるポイントはいくつかあります。
 まず花ですが、ヤクシマアカシュスランの側萼片は楕円形〜卵形で丸みがありますが、カゲロウランの方は幅が狭く尖った三角形をしています。 カゲロウランの側萼片は縁が内側に巻くので余計幅が狭く見えるのです。図鑑には唇弁や蕊柱についての違いも書かれていますが、 これは素人の私が近寄って肉眼で見て判るというものではありません。

 次に葉ですが、カゲロウランの葉はビロード状の濃い色で、その縁は波打っています。 ヤクシマアカシュスランの方はやや明るい緑色で、真ん中の葉脈が白く目立ち、すっきりした感じです。

 しかし、なんと言っても一番判りやすい相違点は葉柄の長さです。 ヤクシマアカシュスランには2〜3cmの、赤みを帯びた明瞭な葉柄があります。しかし、 カゲロウランの方は短くて葉が茎に直接くっ付いているように見えます。
 このポイントなら、花が咲いていない時期でも、また、花をつけない小さな株でも一目で見分けることができます。

2009/9/21

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