タネを遠くへ飛ばす、ヤツシロランの戦略

 風にタネを広く遠く運んでもらうのには、セッコクやフウランなどのように高い木に着生している方が断然有利です。 8個の花が落ち葉にくっつくほど背丈は低い。 8個の花が落ち葉にくっつくほど背丈は低い。
  クロヤツシロランといえば地面に生えて、その花が落葉に触れるほど背が低いのです。 これでは、タネは株の周りの狭い範囲にしか撒かれません。

 ところが実を結ぶととたんに、花柄の部分が伸び始めます。 写真右は30日後の同じ株ですが、5個が結実しています。茶色のラグビーボールみたいなのが果実で、白っぽい棒は花柄だった部分です。 地面から果実天辺まではおよそ16cm あります。 しかし、まだまだ伸びます。タネを飛ばすころには30cmぐらいにはなるでしょう。 私が測ったもので、もっとも高いものは50cmを超えていました。 5個結実して、急速に果柄(=花柄)が伸びはじめる。 5個結実して、急速に果柄(=花柄)が伸びはじめる。

 棒状の果柄(=花柄)には液体が詰まっていますが、伸びるにしたがって液体がなくなり、最後にはストローのように空っぽになります。 おそらく急速に伸ばすエネルギーに費やしているのでしょう。

 同じ属のオニノヤガラは、花の時から背丈を高く伸ばしていますが、クロヤツシロランは実を結んだものだけを高く持ち上げる戦略ですから、無駄なエネルギーを費やさずに済むエコタイプです。

2009/ 1/ 9

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