和名 オニノヤガラ(鬼之矢柄) 花茎が真っ直ぐいことを矢柄(弓矢の軸)に喩えた。
学名 Gastrodia elata Blume var. elata  種小名 elata は「高い」という意味。
分布 北海道、本州、四国、九州。外国では、ヒマラヤ〜中国、極東ロシア、朝鮮半島、台湾。
生態・形態 暖温帯〜亜寒帯の林床に生える。菌寄生植物で、まったく葉緑素を待たない。
花茎は、花期に高さ40〜100cmの高さになり、上部に20〜50個の花をつける。
萼片と側花弁が合着し、先端部分で少し開く壷状で、平開しない。 花色は、緑色の強いものから褐色の強いものなど変化がある。
全体(花茎、花とも)が緑色のものは、品種としてアオテンマ f. viridis という。 なお、シロテンマも品種とする説もあるが、変種とした。
 ▼ 花の形態をみる。



@=背萼片
A=側萼片
B=唇弁
C=側花弁
D=蕊柱


花被片(唇弁を除く)は、完全に癒着していて萼筒(約13o)となる。
その先端部で浅く裂けて、背萼片、側萼片および側花弁となるが、大きく開くことはない。



花期 5〜7月。四国では、6月中旬から。


2011/7/17
2011/7/29

果実期

2011/8/20

果実が裂けて、タネが散っている。

 

2013/7/14
2013/7/14
2013/7/14

萼と花弁が合体

@=背萼片、A=側萼片、B=花弁、C=唇弁 @=背萼片、A=側萼片、B=花弁、C=唇弁 @=背萼片、A=側萼片、B=花弁、C=唇弁 @=背萼片、A=側萼片、B=花弁、C=唇弁 萼筒を開いて、内側からみた想像図
@=背萼片、A=側萼片、B=花弁
萼筒を開いて、内側からみた想像図
@=背萼片、A=側萼片、B=花弁

 オニノヤガラの花の大きな特徴は萼片が合体して、筒状の形(萼筒)を作っていることです。(普通は、背萼片と2つの側萼片はそれぞれ離れている。)

 筒の先端部に切れ込みがあって、5つの山ができています。
 真ん中@が背萼片の先端部分に当たります。
 両側の山Aは側萼片の先端部分です。

 花弁Bは萼筒の内側の上部から出ています。普通は、花弁は花托から出るのですが、オニノヤガラの場合は、萼筒の途中から発生して、その一部のようになっています。

 萼筒の先端部に切れ込みがあるのは、背萼片と側萼片と花弁とが独立していた時の痕跡ともいえます。

 萼筒から唇弁Cが覗いています。これだけは独立して花托に着いています。

 これらは、オニノヤガラだけでなく、この仲間(オニノヤガラ属)に共通する特徴であるといえます。

2013/8/29

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